日本の伝統的なドライフルーツあんぽ柿。
田舎の民家の軒先に紐にくくられ吊るされた、いわゆる日本の原風景とでもいうべき独特のあの姿が印象深い秋から冬にかけての風物詩。
柿独特の綺麗なオレンジ色にトロっとした食感と甘くて濃厚な味わい深い、和スイーツ干し柿の一種である『あんぽ柿』。
和スイーツとして昔からありながらも、洋風スイーツの陰に隠れて脚光を浴びることの少ない日本らしく奥ゆかしさをもつあんぽ柿。
今回たまたま手に入れるきっかけがあったので食べてみた。
あんぽ柿って?
田舎の原風景に溶け込むように佇む、秋か冬にかけての風物詩といえば、田舎の民家の軒先に吊るされた柿の姿は有名だ。
一般的に干し柿と言えば、黒く変色し硬くなったものを想像しがちだ。
古くは江戸時代に始まった「天干し柿(あまぼしがき)」が由来とされ、当時はまだいわゆる干し柿同様に黒ずんだ姿をしていたという。
その後大正時代になり、カリフォルニアでは干しブドウの乾燥に硫黄燻蒸を行っているということをヒントに、現在のあんぽ柿の原型となる硫黄燻蒸によるあんぽ柿が誕生する。
こうして福島県伊達市を発祥とする、現在のあんぽ柿の誕生に至った。
その味は、いわゆる干し柿とはまったく別の進化を遂げ、見た目は柿そのままの鮮やかなオレンジ色を残し、身はトロッと柔らかく濃縮された柿の甘味と旨味を感じられる日本が誇るドライフルーツ。
あんぽ柿食べてみた
福島県伊達市が生んだ和スイーツあんぽ柿。
本来は渋柿であるが、干すことで渋み成分であるタンニンが不溶性となり渋味を感じなくなり、熟成されることで甘みが増してとても美味しく変化する。
データ
あんぽ柿
価格 585円
内容量 230g
エネルギー 253kcal
タンパク質 1.7g
脂質 0.1g
炭水化物 61.2g
食塩相当量 0.0g
カリウム 350mg
※成分は可食部100gあたり
なんとなく気軽にパクパクといってしまいそうになるが、あんぽ柿1個で140kcalほどあるためドライフルーツ感覚で食べすぎるのは推奨できない。
でもその独独の食感と甘味はクセになる。
元の柿そのままに近いあんぼ柿は、一般的な黒ずんだ干し柿とは違いビジュアル的にも美味しそうなイメージを受ける。
個体差があり、表面に糖分が白く粉を拭くのも自然相手に作るスイーツならでは。
表面は締まりがあり噛み応えがあるが、その内部は熟してトロっとした食感に変わる。
これがいわゆる干し柿との大きな違いだ。
濃縮された柿の甘味や旨味、柿特有の香り。
柿本来の自然な甘みなので、甘みにクドさがなくとても食べやすい。
素材の美味さによるところが大きいため、高級品に部類するあんほ柿も存在する。
瑞々しさが通常のあんぽ柿とは格段に違うという。
そんなあんぽ柿いつか食べてみたいものだ。
最後に
日本の風土が生んだ、独自の進化を遂げたドライフルーツ、日本が誇る和スイーツ「あんぽ柿」。
渋柿を美味しく食べられるように工夫をするという昔ながらの知恵から生まれた一品。
濃縮されたその旨味だけでなく、抗酸化作用やウイルスに対する免疫力の向上、食物繊維による整腸作用が期待される優れた食材。
11月~2月にかけてがシーズンとなるあんぽ柿、日本の風土が生んだ絶品スイーツを味わおう。
でも栄養豊富ゆえに食べ過ぎには注意。