今年も栃木県民には恒例の『しもつかれ』のシーズンがやってくる。
2月の初午の日(2022年は2月10日)に作られる、栃木県が誇る郷土料理のひとつだ。
7軒の家のしもつかれを食べると病気にならないと言い伝えられるほどで、実際にしもつかれは栄養満点なスーパーフードでもある。
各家庭によってお決まりの作り方があり、基本的なレシピは同じだけどそれぞれ違った味に仕上がる。
つまり自分だけのしもつかれレシピがあってもいいのだ。
今回はそんな自分好みのしもつかれを作ってみた。
嫌なクセゼロのヤミツキになるしもつかれ
しもつかれといえば、ビジュアルもさることながら生臭ささというか独特のクセが苦手な人が多い。
栃木県民ならば必ず一度は通る(かもしれない道、それは実家でつくられるしもつかれと学校給食で年に一度出されるしもつかれ。
昔ながらのしもつかれは、とにかくクセが強い。
学校給食でも食べ残しが大半を占めるという。
実は、実家のしもつかれを食べたのがキッカケで大嫌いな料理のひとつとして認識していた。
そんなしもつかれを自ら作って食べる日来ようとは。
何故鮭の頭を使う?
元来、しもつかれには新巻鮭の頭を使うことが通説であり、酒粕と鮭の塩気だけを唯一の調味料とする料理だ。
日本には年末や正月には縁起のよい尾頭付きの新巻鮭を贈る風習があり、身は美味しくいただくが鮭の頭は廃棄されてしまうことが多い。
その鮭の頭を余すことなく使うしもつかれは、フードロス削減の先駆けといってもいいのかもしれない。
鮭の頭は「悪いものを追い払う」という縁起の良い食材なので、しもつかれには欠かせない。
とはいったものの、最近では年末年始に新巻鮭を贈られるという風習もあまり見なくなったように感じる。
そうなってくると鮭の頭を調達するのも容易ではない。
そしてなによりその鮭の頭こそが、しもつかれの味を嫌いにさせる元凶に他ならない。
縁起とか通説なんてそんなのにこだわることこそが、『しもつかれ』を人気ご当地グルメにする障害になっているのではないか。
しもつかれも現代風に生まれ変わってもいいんじゃないか?
-
栃木の郷土料理しもつかれ。節分といえば定番の縁起物の伝統食
続きを見る
レシピ
嫌なクセゼロで誰でも食べられる(かもしれない)ヤミツキになるしもつかれのレシピはこんな感じ。
レシピ
鮭の水煮缶(180g) 2缶
大根(1/2カット品) 1袋
人参 1本
油揚げ(2枚入 1袋
水煮大豆(150g) 1袋
A
ほんだし 8g(小袋入り1本分)
酒 大さじ2
水 300ml
B
酒粕 100g
醤油 大さじ2
塩 小さじ1
正月の余りものを使って作ったのが始まりというしもつかれ、用意した材料が残ってしまっては本末転倒。
このレシピでは買ってきた食材すべてをつかうことができる。
そしてなにより、しもつかれを作るにあたって必須というアイテムがある。
「鬼おろし」だ。
これがあると無いとでは大違い。
初午の時期が来ると年に1度だけ物置から姿を現し、役目を終えるとまた1年眠りにつく。
栃木県民の一家に1本のアイテムだ。
※諸説あり
作り方
手順
- 大根とニンジンの皮をむき鬼おろしでおろす
- 油揚げをカット
- 鍋に具材をすべて、Aの調味料を投入
- 中火で煮込み、沸騰したら弱火にして10分煮込む
- Bの調味料を加えて10分煮込んで完成
大根と人参の皮むき、鬼おろしでおろす。
粗めな感じにおろせるのは、鬼おろしならでは。
これがしもつかれ流。
鬼おろしさん今年もありがとうございました。
また来年お会いしましょう。
油揚げはまず半分にカットし、細めにカットしておく。
全ての具材を鍋に・・・
大根、にんじん、油揚げ、鮭の水煮缶、大豆を投入し、ほんだし(8g)、酒(大さじ2)、水(300ml)を加えて中火にかける。
沸騰したら弱火にし、フタをして10分煮込む。
酒粕(100g)を加えて全体になじませたら、醤油(大さじ2)、塩(小さじ1)を加えてさらに10分煮込む。
お好みの味加減に調整しつつも仕上がったら完成。
無限に食えるしもつかれ
しもつかれはキンキンに冷やしてから食べるのが至高だが、せっかくなので出来立てアツアツを食べてみよう。
生臭さは一切なく、酒粕の香りがほんのりただよう。
鮭の旨味に酒粕のコク、大根や人参の甘みがきいている。
汁を吸った油揚げがまた格別。
酒粕を昨年より増量したのも正解だったな。
普通のしもつかれでは絶対にやらないが、最後の残った汁まで飲み干す旨さだ。
しもつかれ苦手な人にこそ作ってほしい一品。
最後に
昨年作ったしもつかれも非常においしくて、しもつかれぶっかけメシも抜群に旨かった。
今回は若干微調整をしてより一層好みの味に仕上がった気がする。
そしてしもつかれの真価を発揮するのは、キンキンに冷やした時。
是非ともしもつかれを作った時には、冷蔵庫や外気でキンキンに冷やしてから食べてみてほしい。